大好きな小説『夜のピクニック』著者の
直木賞受賞作品。
寝る間を惜しんで読んだ一冊。
3年に一度開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールが舞台なんだけど、とにかくいろんなピアノの曲が披露されていて、それを小説だから"文字"だけで表現されている所が秀逸で、わかりやすかった。
数曲は実際に演奏される曲をYouTubeで
聴きながら読んだりもした。
ピアノ界の重鎮ホルマンが亡くなり、遺言に
「音楽界に爆弾を落とした」とメッセージを残したとされ、その一言が当コンクールをより面白くした。
(物理的に爆弾を投下する話じゃない)
コンクール参加者が個性的なんだな。
風間 塵 16才
自宅にピアノもなく、コンクールも未経験。
しかし生前のホルマンに見出され師事。
唯一の弟子となる。
栄伝 亜夜 20才
天才少女としてCDデビューしたが、母親の
死によりピアノが弾けなくなる。
周りの勧めでコンクール参加。
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール 19才
高身長のイケメンで天才と評される。
亜夜と知り合い。
高島 明石 28才
主だった参加者唯一のサラリーマン。
「生活者としての音楽もある」と一念発起。
とにかく音楽界専業者じゃない明石に、
感情移入して読んで熱くなった。
参加者の熱意、そして緊張感。それを伝えようとする恩田陸の筆力のパワーを感じた。
本気のピアノコンクールを実際に行って
聴いてみたいと思った一冊。